6月13日 NHK教育テレビ「こころの時代-福島を支えるということ」を観て、素晴らしい学者がいるものだなと感銘を受けました。紹介された人は、放射線防護学者として、現在は京都の立命館大学名誉教授であられる安斎育郎氏。氏は昭和37年東京大学原子力工学科に入学され、当時は夢のエネルギーとしてもてはやされていた原子力工学を学ぶが、放射能のとてつもないエネルギーが、反面とてつもなく恐ろしい殺人兵器にもなることにも注目。彼の言葉の中でとても印象深かったのが、「自分もそうであるけれど、科学者、技術者は自分の探求するテーマを追求していくことに非常な面白さを感じるものだ。夢を見るほど、夢中になってしまう。大変危険なことは、それに熱中すると視野が極端に狭くなってまわりのことが見えなくなってしまい、とんでもないことをしでかすことになる。だから、日常生活に関わるあらゆることに視野を広げることが大切だ。」私も技術者のはしくれとして、共感するものがあります。
 現在75歳になられても、安斎教授は毎月ボランティアとして福島を訪れ、残留放射能レベルを測定したり、ホットスポット(強度の高い場所)があれば、自ら除染作業や、土を掘り起こして放射能レベルを少しでも下げる努力を続けている。詳細に測定した放射能レベルをマップにして公表し、現地の子供たちが安全に通れる道、遊べる場所を示している。「起きてしまった事故について、あれこれ論争していても始まらない。いかにすれば、より安全な生活ができるのかを求めて実践してゆくのが原子力に携わってきたものの使命だと考えている」また、「愚直な努力を続けていかなければならない」という言葉にも感動しました。

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