三菱重工とJAXAにより開発されたロケットが、24日午後3時50分、種子島宇宙センターから打ち上げられました。29回目の打ち上げになり、成功確率が96.6%となり、国際的な標準に到達できたそうです。今回は、カナダの衛星運用会社の衛星を搭載しており、日本のロケットが商業衛星を打ち上げたのは初めてになるのだそうです。読売新聞の記事によると、世界各国のロケット打ち上げ実績の比較では、日本は遅れを取っているらしく、今回の打ち上げ成功により開発に弾みがつくことを期待したいですね。日本の高い技術力をもってすれば、それは可能ではないかと思いますが、国際間の開発競争にあって、日本は3つの厳しい条件を克服しなければならない運命を抱えているのです。この件については、また別のところで書こうと思います。

今回の打ち上げは、当初午後3時23分だったのですが、予定を少し遅らせて同3時50分になりました。その理由は、警戒区域内に船舶が侵入したことだと知って、「はやぶさ」の的川先生のお話を思い出しました。
衛星打ち上げに伴って、使用済みロケットの残骸が周辺海域に落下しますが、これによって被害を被る恐れのある周辺海域の漁民の方々の反対を納めなければなりません。そこで、的川先生は何とか多くの漁民の反対を納めて、支持を得られる方向に持っていくべく、何度も足を運び、酒を酌み交わし、説得を続けたそうです。私が以前勤めていた会社の仕事で、伊豆の臨海実験所に出張した時です。仕事を終え、実験所職員の方と夕食を摂ったのですが、真っ黒に日焼けした人の飲む酒の量は半端ではありません。的川先生も、おそらく半端ではない量の酒を召し上がったことでしょう。云うまでもありませんが、結果糖尿病を患うことになってしまいました。
『「はやぶさ」の陰に糖尿病あり』という面白いお話も聞かせてもらいました。

地球から3億km離れたところにある小惑星「イトカワ」・・・「3億km」といっても、どのくらいの距離なのかピンときませんね。私たちが持っている感覚で理解しようとしたら、こう考えればいいかもしれません。電波が進む速度は、秒速30万km。これは、1秒間に地球を7周り半する速さですが、この電波が1000秒(17分)かけて到達する距離に「イトカワ」があります。「イトカワ」の大きさは540mx270mx230m。身近なものとして東京駅駅舎の長さが335mですから、大体想像がつきます。そもそも3億kmという、とてつもなく遠いところにある「イトカワ」を発見したことも驚きですが、自律航法で2年間の宇宙の旅の末にたどり着くということも、ものすごいことだと思います。こうしたことをやり遂げる人間て、すごいとしか言いようがありません。
そうかと思うと、この小さな星の上では、大国のエゴがまかりとおり、ある地域では、飢えたり、生命の危険にさらされた難民が救いを求めてさまよっている。
少なくとも各国の指導者たる人には、エゴを捨てろとは言いませんが、狭い了見から、もう一歩踏み出して、この狭い地球上の人類がお互い争わなくても済む社会の構築に、捨て身の覚悟で、手を差し伸べてもらいたいものだと思います。

最後にもう一度、講演会のポスターのタイトルを載せます。初めてこのポスターを目にしたときは、このタイトルに別段どうという意味を感じなかったのですが、的川先生のお話を聴いて、実感がわきました。

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