JAKA名誉教授 的川泰宜先生のお話から日本人の持つ素晴らしい面を紹介してきました。松下幸之助翁が残してくれた数々の言葉の中にある「難局を切り開くために」「日本と日本人」などに示されている人生観、社会観などと、相通ずるところが多々あると感じています。
良い面を自覚して、自信をもって事に当たるということも勿論大事なことですが、自分や、自分たちの置かれている状況を正しく認識し、その課題に対して謙虚に努力を積み重ねていくということも、同じ様に大事なことですね。

ロケット打ち上げの話に戻りますが、日本がこれからの国際社会の中でその特質を生かして国際貢献を果たしていく中で大きな課題の一つとなっているのが、打ち上げる位置です。詳しい計算をしたことはありませんが、種子島宇宙センターの緯度は、海外のロケット打ち上げ基地と比べてかなり赤道から離れたところにあるため、衛星を軌道に乗せるために消費するエネルギーがその分多くなるそうです。簡単に言って、衛星の寿命でいえば、燃料1年分くらいの差があるそうです。この差が、衛星のコストに効いてくるわけですので、対策を打つ必要があります。今回24日に打ち上げたH2Aロケットでは、打ち上げたロケットから衛星を切り離す高度を、これまでの地上300kmから、3万4000kmに変更しています。こうすることにより、衛星に積んだ燃料の消費を節約することが出来、衛星の寿命を延ばすことになります。

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もう一つの課題は、ロケットや衛星の技術とは異なりますが、サービス心を高めることだということを、宇宙システム工学が専門で、内閣府宇宙政策委員会委員も務める東大教授・中須賀真一氏が語っています。(読売新聞11月26日)
サービスとして、わかりやすい例を挙げています。予算が少ない大学で衛星打ち上げを進めてきた教授の話の一つ、ロシアのロケットを利用したとき、打ち上げ直前に衛星に入れる燃料を日本から運ぶのは大変なので、ロケット会社の方で燃料入手手配をしてくれたり、燃料注入作業にも手を貸してくれたそうです。こうした心遣いが、「また使おう」という気にさせる一つのポイントだとのこと。なんだか、ロケットの話ではなく、ごく私たち日常生活にもピンとくる話ですね。また別の話として、発射場の近くには息抜きできる環境があることも大切だそうです。打ち上げ前の作業にある、ものすごい重圧感をほぐすために、サッカー場、プール、夜には酒も飲めるラウンジなどが求められるそうで、ロシアの発射場の近くにも、最初はなかったのですが、利用者の声を聞いて整備されたそうです。

もちろん、ロケットの信頼性、価格が重要な条件ですが、それは最低限必要な条件であり、それ以外にも上に書いたようなサービス心が大切だと中須賀教授は語っています。ロケットに限らず、日本人として大いに参考にすべきことではないかと思います。

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