12月4日BS日テレ「2時間散歩道」で、嘗て単身赴任をした思い出のある、富士吉田市を、俳優藤岡弘が歩く番組を観ました。
01

私が富士吉田に単身赴任したときから早12年の歳月が流れています。転居経験が人並み以上に多い私がこれまで住んだことがある数々の街並みの殆どが大きく姿を変えていますが、富士吉田の街並みは、殆ど変わっていないように見えました。ただ、富士急行の駅名が、当時は「富士吉田駅」だったのですが、「富士山駅」に変わりました。2011年7月1日の山開きの日に新しい駅名になったそうです。

20100921103247_2010.9.18 fujisanstation

周辺の風景を含め、当時の面影が残る駅のホームが懐かしい。
ホームに入ってくる電車の姿は、昔ながらですね。
05

単身赴任とはいうものの、富士吉田は自宅から福井ほど離れていない距離にあるけれど、毎日通うにはちょっと無理があるので、現地にアパートを借り、週末には自宅へ帰るというスタイルでした。ですから、週末に時間をかけて市内を歩いて廻るということが殆ど無かったため、そこで”暮らした”とは言えないかもしれませんが、単なる通過点ではなく、また”通った”以上の思い出のある場所です。
赴任先での仕事は、FA(ファクトリー・オートメーション)開発室のチーフとして、山梨県をはじめ近県に散在する工場の自動化を推進するという新しい時代に向けた仕事ですが、ご存知のように富士吉田の街並みには至る所に昔から残っている風景があります。工場自動化の柱としているのが、当地忍野に工場があるFUNACの多関節ロボットを取り込むという、いわば時代の最先端技術の一つですから、普段の生活を取り巻く環境とのギャップの大きさに戸惑うことがしょっちゅうでした。
08

はっきり、「あっ、ここだ」という記憶はありませんが、この写真のような風景がごく普通にみられるといった感じです。「ミリオン」なんて名前も、いかにも前時代的ですね。今風に言えば、桁が上がって「メガ」とか「ギガ」ですよね。

番組の紹介に、「おいしいもの」という見出しがあったので、「何だろう? ひょっとしたら‘吉田のうどん‘かなあ」と想像していたのですが、富士急行線で一駅目の「月江寺」駅の近くにある「べんけい」という和菓子屋さんを紹介していました。

06

各種のお団子や、饅頭、お餅など、いわゆる伝統的な和菓子が店内狭しと並んでいましたが、そのお店では「和菓子」からは一寸外れるのですが、「いなりずし」が目玉商品だとあって、藤岡弘も10個700円のいなりずしを買い求め、ひとつ頬張りました。「うーん、この味おふくろの味を思い出すなぁ」と感慨深げに味わっていたのが印象的でした。80歳というおかみさんが、「この油揚げを煮る汁は代々引き継いでいるもので、捨てずにずっと続けているんですよ」と話していました。

もう一つ紹介していたのが、「古書店」を経営している60歳位の風貌の親父さん。話は横道にそれますが「古本」と「古書」、かつてはこの二つは似た様なものだと認識していたのですが、最近、街でよく見かける「古本」は、全く別物という感じがします。読み終わった本や雑誌を二束三文でかき集めて、当然新品より下げた値段をつけて売る、うまい商売が流行っています。新品より安いとはいうものの買い取った値段からは信じられないような値段を付けているのは一寸許せないと思いませんか。でも、それで成り立っているんだからそれで良しとするしかありませんね。
閑話休題、「古書店」の親父さんの話に、一寸ひっかるものがありました。店の表には、昔、白黒テレビが世に出始めたころプロレスで活躍した「力道山」の写真などが飾られており、店内には正真正銘の「古書」が並べてあります。店は意外にも「三年前に始めた」そうで、店主も地元の人ではなく、嘗ては大阪にいたそうです。店主曰く「富士吉田の人は、新しもの好きで、古いものには興味がないようです」
店主には、商売っ気はまったく感じられず、自分の趣味で集めた古書を並べて、欲しい人に譲っていこうという道楽で始めた店のようです。

もちろん、「新しもの好き」の富士吉田市民ばかりとは限りませんが、古いものと新しもの好きが混在する町、富士吉田ってそんな街なんですね。今度、機会が合ったら「べんけい」と「古書や」を訪ねてみたいと思います。

余談ですが、単身赴任の間、知人から紹介していただいた、ある男声合唱サークルの中に入れてもらい、都留市内のお寺に併設した幼稚園を練習会場に、多田武彦の合唱曲を楽しませてもらいました。このサークルの中心的メンバーが、上智大出身で学生時代に多田武彦から直接の指導を受けておられたそうです。この合唱練習の時間は、単身赴任で、話の分からない職場の上司に悩まされていた時に、つかの間の憩いのひと時でした。

Follow me!