今朝の読売新聞を開いているときに、電気事業連合会が載せた「日本のエネルギー事情」のタイトルで慶応義塾大学大学院教授とタレントの春香クリスティーンの対談形式で、原子力発電の必要性を説く意見広告が目に留まりました。
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東日本大震災によって引き起こされた福島の原発事故から、はや4年9か月経った今も、事故前の暮らしに戻れず、不自由な避難生活を送っている人々、行方不明者を一日も早く身内の方のもとに届けたいと懸命に捜索を続けている人々、こうした報道に接する度に、もっと早く何とかしてあげられないのかなという思いが募ります。
この時期に、電気事業連合会が意見広告を載せる意図は言わずもがな、こうした報道により原発に対して反対方向に人々の意見が傾くことを恐れてのことだと思いますが、私はこのタイミングで意見広告を載せた電気事業連合会の判断を肯定するひとりです。

もちろん、原発事故の被害を決して軽視するわけではありません。ただ、原発は怖いものだから、原発はゼロにすべきという考え方は、「木を観て森を観ず」のたとえの通りに、一面的なとらえ方ではないのかなと思います。

37万8千平方キロメートルの国土面積の上で1億3千万の国民が生活するために必要なエネルギー、食料などの資源はそのほぼ9割以上を海外から輸入しています。人口13億といわれる中国ですが、広大な国土面積があり人口密度を比較すると日本は中国の2.6倍に及びます。

環境汚染の面で考えると、原発が停止している現在、海外から輸入した石油を燃やす火力発電に多くを頼らざるを得ない状況のため、二酸化炭素の排出量は当然増えてきています。

日本各地に建設されている50を超える原発を、安全対策を確立して再稼働してゆくことにより、環境汚染を減らし、貿易収支を改善することが可能になり、何よりも海外からの輸入に頼る体制から脱皮することは、エネルギー面での安全保障の基礎になります。

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電気事業連合会が資源エネルギー庁「電源開発の概要」等の資料を基にした計算によると、震災前2010年の発電電力量の構成比は、原子力発電は28.6%、火力発電が61.7%、再生可能エネルギーが9.6%だったそうです。再生可能エネルギーとは、太陽光発電は良く知られていますが、風力発電、地熱発電、その他の合計ですが、この時点で1割近くまで進んでいたのは驚きです。
ところが、その翌年の震災によって引き起こされた原発事故により、原子力発電はすべて停止となり、2014年には再生可能エネルギーが12.2%と増えてはいるものの、9割近くを火力発電に頼ることになりました。

政府案での2030年の見通しでは、原子力発電が20~22%、火力発電が56%、再生可能エネルギーを22~24%と見込んでいます。

ここまでは、グローバルな見方で、日本のエネルギー事情の推移を見てきましたが、私たちの生活の中でエネルギー問題をとらえた時、私たちにできるエネルギーの自給自足となる、太陽光発電を可能な限り推し進めていくべきではないかと思います。
もちろん、すべての家庭で導入できることではありませんが、市内を歩いていて、太陽光パネルを載せるに適しているけれども、載せている住宅はまだまだ少ないようです。屋根の形にも、様々ありますが、最近新しく建てた住宅では、南面に向いた片流れ屋根が多くなっているようです。太陽光発電を考えているのでしょう。そうでない寄棟造りの屋根、私の家もそうですが、片流れ屋根と比べると無駄な面積が増えるようですが、太陽光パネルの発電効率も良くなってきているので、十分可能なレベルになっているようです。
ちなみに、簡単に試算しますと、畳一畳サイズ(1.8mx0.9m)のパネル1枚で、200Wのパネルを15枚載せると、電力の使い方が標準的な家庭で消費する3KWの発電が可能です。単純に縦2段横8枚並べると縦3.6m横7.2mあれば16枚3.2KW分載せられます。

太陽光発電ですから、当然夜間はゼロ、雨の日や曇りの日も発電量は少なくなりますが、日中天気の良い時には、家庭で消費する電力が発電電力より少ない時に、余った電力を電力会社が買い取ってくれます。太陽光発電の普及、発電機器の価格低下にともなって、買い取り価格も年々下がっていきますが、まだ、電力会社から買う価格より高い値段で買ってくれます。国や地方自治体による、補助金も下火になってしまいましたが、まだまだ補助金を継続して、市民の太陽光発電設備の導入を後押ししてほしいものです。

放射能汚染や、環境汚染の問題への有効な対策として、再生可能エネルギーの普及をさらに促進して、安心して暮らせる社会づくりの基礎固めを、私達市民の一人一人が、できることをやっていくということが大事だと思います。

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