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タイトルでは端折りましたが、書名の頭に「イタリア語から学ぶ」が付いています。
著者は、ピアニストであり夫人のラーゴ・マリアンジェラさんと共にイタリア音楽・文化の紹介や普及に多大な力を注いでいられる関孝弘さんです。
神奈川県北西部のJR中央本線藤野駅の南方、自然に囲まれた処に建てられた「神奈川県立藤野芸術の家」で開かれた「関孝弘の音楽のお話とピアノコンサート」を、家内と二人で聴きに行きました。(2012.2.5)行かれた方はご存知のように、ホールというより、学習施設の一部の体育館といった建物の中で、演奏者と聴講者が同じフロアの数mの距離で音楽を共有できる空間です。

当日のプログラムは、
スカルラッティ:ピアノソナタ
ヴェッキアート:マーコラ宮殿、夜のヴェローナ
レスピーギ:シチリアーノ
ショパン:別れの曲、ノクターン遺作、幻想即興曲
バッハ/ブゾーニ:シャコンヌ

これ等の曲の演奏の間に、いろいろな興味深いお話をして下さり、あっという間に終了時間になってしまいました。
ヴェッキアーノって、この時まで聞いたことがない名前だったのですが、演奏を聴いて気に入りました。
和音の取り扱い方に親しみを感じました。勿論、作曲者の力だけでなく、演奏者の力も大きく発揮されているのだと思います。

コンサートが終わり、恒例のCDや図書の販売があり、無謀にもヴェッキアーノの楽譜を買ってしまいました。
並べられていた図書の中に標題にあげた「音楽用語辞典」があり、手に取ってページをパラパラとめくってみると、これまで見てきた音楽用語辞典と全く違い、面白そうなのでこちらも買ってしまいました。もちろん、見開きページにサインもしてもらいました。P1020477名前の前に「常に明るく楽しく Allegro!!」という言葉まで添えてくれました。

157ページの小型の本ですが、音楽用語の意味が大きなイラストも添えて、じつにわかりやすく書いてあります。その一部を紹介します。

「Adagio:1.ゆったりと 2.慎重に 3.安らいで
      (前略)Adagioは、A(d)+agioという語源から成立している言葉です。そしてこのagioには「くつろぎ」「ゆとり」といった基本的な意味があります。ですからAdagioには、速度のゆったりした感じだけでなく、精神的な「安らぎ」のニュアンスが含まれているわけです。(中略)さらに忘れてならないのは、Adagioには「注意をして」「デリケートに」という意味があることです。ジュースがあふれそうなコップを注意深く運ぶとき、どうしても動作はゆっくりとなりますよね。これがAdagioの感覚です。ゆっくりと慎重に、もちろんそこにはデリカシーも必要です。(後略)演奏アドバイス:やわらかなソファーで「あー、気持ちいいな~」と、くつろいでいるような心地よさをイメージしながら演奏して。あのゆったりして、温かい感じこそがAdagio!」P1020479

これこそ「目からウロコ」じゃないかと思います。
発行元は、株式会社全音楽譜出版社 です。

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