2016年4月17日放送のテーマは「天才モーツァルトの音楽会」です。

20160417D18世紀後半のオーストリアにおいて35年の短い生涯の中で、600曲以上の作品を残したモーツァルト。その作品は交響曲、協奏曲、室内楽曲をはじめ歌劇、ピアノ曲、歌曲など幅広いジャンルにわたっているので、音楽愛好家の大人ばかりでなく、どんな小さな子供でもモーツァルトの名前を口にしたことがあるでしょう。沢山あるモーツァルトの作品の中でも名曲と言われるものの多くが短調で作られているのが特徴だそうで、短調の曲こそモーツァルトの天才が発揮されているのだそうです。言われてみると確かに、かのレクイエムがニ短調、交響曲第40番がト短調、勿論モーツァルトの作品を並べてみると長調の曲がたくさんありますが、人間の魂を深く掘り下げて行くところに絶対的に存在する苦悩を表現する手段として短調の音階は必須のものかもしれません。今回の番組ではその短調の魅力についてまとめたそうです。

取り上げる曲目は、

1.「交響曲第25番 ト短調」第1楽章  1773年17歳のときの作曲

2.「交響曲第40番 ト短調」第1楽章  1788年32歳のときの作曲

3.「ピアノ協奏曲第20番 ニ短調」第3楽章 1785年 29歳のときの作曲

20160417B演奏は、沼尻竜典が指揮するトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア、ピアノ独奏は反田恭平。

学習研究社から出版された「青島広志の モーツァルトに会いたくて」(2006年刊)に載せられた安藤應次郎氏がまとめたモーツアルト作品一覧によれば、5歳のときのピアノ曲がケッヘル番号1a アンダンテハ長調 同1b アレグロハ長調 同1c アレグロヘ長調 同1d メヌエットヘ長調 と記されています。「神童」と呼ばれるだけにものすごい早生ぶりに圧倒されます。勿論、モーツァルトが一人突然とびぬけた才能を発揮したわけではなく、父レオポルトの熱心な教育がその背景としてあるようです。父レオポルト自身も作曲家、演奏家としてザルツブルク大司教の宮廷楽団の副団長の地位まで昇りつめた音楽家だったので、血筋を継いでいることも多分にあるようですし、ヴォルフガングと4歳半年上の姉マリーア・アンナ二人の教育に自身の出世にかける以上の力を注いだ父親の教育パパぶりが決定的だったのではないでしょうか。

5歳の作品が残っていることも驚きですが、天才を発揮したものと云われる今回紹介される作品が17歳、29歳、32歳のときに作られたということにも驚かされます。先天的な才能もあるのでしょうが、教育環境として優れたものに恵まれていたことも大きな要因なのでしょうね。

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指揮者の沼尻竜典さんは、オーケストラが小編成だからなのかもしれませんが、指揮棒を持たずに素手で指揮をしていたのが印象的でした。ピアニストの反田恭平さんの演奏中の表情が実に豊かで、今にも泣きだしそうだったり、「これでもか、これでもか」と強く表情で訴えているようなところ、息も絶え絶えに演奏に集中しているようなところが印象的でした。目をつぶって視覚から得られる情報を断って彼の演奏を聴いたらどんなふうに聴こえるのかしら?

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