2016年5月15日の放送は、「癒しの英国音楽会」というタイトルのもとで、慶応大学、英国王立ノーザン音楽大学指揮科を卒業され、BBCフィルをはじめ、海外の数多くのオーケストラを指揮するというちょっと変わった(?)経歴の指揮者藤岡幸夫(さちお)さんをメインゲストに迎えての音楽会です。藤岡さんの話を聞くと、彼の経歴からもなるほどと思われますが、作曲者ヴォーン・ウィリアムズの音楽に大変詳しく、また惚れ込んでいられるように感じました。

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今回、紹介される曲目はすべてヴォーン・ウィリアムズの作品です。

1.「グリーンスリーブズ」による幻想曲   お馴染みの旋律をもとに幻想曲と題して創られた管弦楽曲で、ゆったりと流れるような美しい旋律は朝靄に煙る大地・雄大な自然を感じさせてくれます。「癒しの音楽」というタイトルも納得できますね。このメロディーが私の体に定着したのは、中学の頃だったか、ブラザースフォアという男性ヴォーカルグループがギターを弾きながら男声コーラスを聴かせてくれたときで、この時はこの曲にイギリスの影はまったく感じていませんでした。むしろアメリカ大陸の草原を駆ける開拓者のイメージが訳もなく付いて廻ったような気がします。ですから、「癒し」という言葉との整合性に不思議なくらいでした。

2.「交響曲第2番 ロンドン交響曲」第1楽章  「ミードーレーソー;ドーレーミードー;ミードーレーソー;ソーレーミードー」という単純ですが深い味わいのあるイギリス・ロンドンのシンボル、ビッグベンのチャイムの音が、曲の中でハープで奏でられます。4つの音だけを使い、よく似た音型が2回繰り返されるだけなのですが、飽きの来ない傑作だと思います。「ビッグベン」は通称で、正式には「エリザベス塔」と名付けられているそうです。230px-Clock_Tower_-_Palace_of_Westminster,_London_-_September_2006-2

英国国会議事堂が入っているウェストミンスター宮殿の一角で、チャイムのメロディーの正式名称は「ウェストミンスターの鐘」というのだそうです。誰がどういう由来でつくったのか知りたくなったのですが、見つかりませんでした。初めて鳴らされたのが1859年といいますから、もう150年以上も長い間ロンドンのシンボルとして、いまや全世界の人々に知れ渡っているお馴染みのチャイムです。私達も、小学校の頃から学校で、また役場から流れるメロディーを聴きながら育ってきました。

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私達の生活習慣として体に染みついてきているのは、最初の写真のように青空のイメージではなく、2番目の夕刻のイメージですね。写真のタイトルに「6時5分前」の文字がありましたが、季節がわかりません。話が横道にそれてしまいました。「ロンドン交響曲」は、ロンドンの雑踏、街の情景を連想させると解説されますが、作曲者は「偶発的にすぎない」といっているそうです。私は馴染みがない曲なので、どっちでも構いませんが。

3.「交響曲第3番 田園交響曲」第4楽章  「田園交響曲」と呼ばれていても、ベートーヴェンのものとは趣が全く違うもので、戦争で友人を失った悲しみを癒すことが、この曲が作られたねらいだそうです。半田美和子さんのヴォーカリーズで歌われる旋律に、作曲者は戦争の愚かさを表現したかったのかもしれません。20160515C

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