2016年7月3日の放送は「ボサノヴァを愛する音楽家たち」と題して、スタジオに日本ボサノヴァ界の第一人者、小野リサさんと、津軽三味線奏者の上妻宏光さんを迎えてブラジル音楽ボサノヴァにまつわる話とブラジルの伝統楽器についての紹介がありました。20160703C

南米ブラジルのボサノヴァに津軽三味線とは、ずいぶん変わった組み合わせだなと奇異に感じたのですが、番組の中で紹介されたビリンバウというブラジルの伝統楽器と津軽三味線とが非常によく似ていることを私ははじめて知りました。

3 Berimbau mit unterschiedlichen Tonhoehen

3 Berimbau mit unterschiedlichen Tonhoehen

実際に番組の中でビリンバウ奏者がその楽器を鳴らしてくれ、そのよく似た音色を確認させてくれました。ビリンバウは、武器の弓に共鳴用のヒョウタンを組み合わせたもので、津軽三味線とはその発祥が違いますけれど、今日、ジャンルを超えて国内外アーティストとセッションを世界各国で行っている三味線奏者上妻宏光さんとボサノヴァを組み合わせた番組企画も面白いところに目を付けたものだなと感心しました。

番組の最初には、番組司会を務める五嶋龍さんのヴァイオリンを併せ、津軽三味線の音色を組み合わせたところに小野リサさんのささやきかけるような歌声で「イパネマの娘」。この曲はボサノヴァ愛好者でなくても知れ渡った名曲ですね。私もヒットした頃には繰返し口ずさんだ思い出があります。小野リサさんの、ちょっとハスキーっぽい軽くささやきかけるような語り口というか歌い方に、私も若かりし頃に耳にしていた懐かしいメロディーが蘇りました。20160703A20160703D20160703B

 

 

 

 

 

ボサノヴァという音楽の歴史は意外に新しいことを知りました。インターネットで検索すると色々な記事を読むことができますが、その中で目にとまったのが東野龍一郎という人が作った「これがBossa Nova」という記事でした。彼は、音楽業界によく顔を出す評論家ではなく、みずから演奏活動を進める中でブラジル音楽のエッセンスを吸収し、数多くのアルバムを出しているひとで、この記事を読むとボサノヴァの事が分かりやすく書いてありことに感心します。

ブラジルに永く伝わっている音楽は皆さんよくご存じの「サンバ」ですね。サンバは番組の中では「ささやく」ボサノヴァに対して、叫ぶような音楽だと言われていましたが、サンバの中にもカーニバルの多人数で打楽器を主体としたものから、小編成でしっとりした歌を聴かせるものまで幅広くあるそうです。

ボサノヴァのボサは「隆起」「素質」「傾向」、ノヴァはご存知のように「新しい」という意味で、サンバのリズムから新しく派生し大きな盛り上がりを見せたものと理解すればよいと思います。1950年代の終わりに、地方都市から歌手になるためにリオに出てきた、ジョアン・ジルベルトという青年が艱難辛苦の末に、ギターの弾き語りという自分のスタイルを完成しました。これがボサノヴァと呼ばれるようになったのだそうです。ボサノヴァの隆盛にもう一人忘れてならない人が、数々の名曲を作ったアントニオ・カルロス・ジョビンです。ジョビンはジョアンが現れる少し前から独自の作風を完成しつつあったのですが、ジョアンの出現により刺激を受け、決定的に新しい音楽を産み出すことに成功したそうです。ジョアンもジョビンの曲によって大歓迎されたと言えるでしょう。二人の関係は、ボサノヴァの歴史と切っても切り離せないものだといえるでしょう。

紹介された曲はこのほかに

「マシュ・ケ・ナダ」

「ビリンバウ」

「ハンキー・パンキー」

「マシュ・ケ・ナダ」は、セルジオ・メンデスの来日によって日本国内に大きな波紋を残した曲の一つだと言えるでしょう。

ボサノヴァのリズムは、「タン・タ・タン・タ・タン・タ・タン・・・・・」と単調な繰返しですが、このリズムに乗った独特の節回しで、ついつい体が前に出ていくような、積極的な印象を持っていると思います。

 

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