2016年11月27日の放送は、音楽を演奏するアンサンブルの中で、根幹のスタイルと言われている「弦楽四重奏」がテーマです。ゲストは、今年楽壇生活50周年を迎えた人気、実力ともに日本を代表するヴァイオリニスト徳永二男さん、東京芸術大学非常勤講師や、N響首席奏者などで活躍中のチェリスト向山佳絵子さん、東フィルの首席ヴィオラ奏者のほか、洗足学園大学講師、自ら主宰するヴィオラアンサンブル「SDA48」などで活躍中のヴィオラ奏者須田祥子さんです。

この3人の実力者を迎えても四重奏は成り立ちませんので、当然四重奏を成立させるために登場するのが司会を務めている、ヴァイオリニスト五嶋龍さんということになりますね。演奏を聴かせてくれたのは、弦楽四重奏曲として名高いものばかりです。

♪1.弦楽四重奏曲 第67番「ひばり」 第4楽章 / F.J.ハイドン

賑やかにさえずり合うひばりの群れを表現している響きがきれいにまとまっています。宮廷で貴族の耳を楽しませている様子が想像できるような音楽のように感じます。

♪2.弦楽四重奏曲 第11番「セリオーソ」 第1楽章 / L.v.ベートーヴェン

上の写真を見て気付かれた人が多いと思いますが、標準的なカルテットの並び方とは違っています。敢えてこのように変えてみて新鮮な試みをしたそうです。テレビで見ている分にはよくわからないのですが、演奏する人たちにとっては、両隣りで演奏する楽器がいつもと全然違うので、はっきりとその違いが感じられるのでしょう。また、すぐ近くで演奏を聴く人にとっても、いつもとは違った響きに新鮮な感覚が得られるのではないかと思います。

♪3.弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」 第1楽章 / A.ドヴォルザーク

アンサンブルの中で、根幹になるスタイルと言われているのが弦楽四重奏だと言われていますが、アンサンブルの歴史から見て根幹であるだけでなく、今の時代にあっても、複数の演奏者が一つの音楽をまとめる場合に大切なこと、基本になることが凝縮されているように思います。4人の奏者が、お互いに良く聴き合って、或る時は自分が主役となり、またある時は自分は脇役になって主役の奏者を引き立てる役目を果たす。それぞれのパートは自分一人だけですから、失敗は許されないという重責を担いますが、それだけにうまくいったときの醍醐味も格別だと思います。演奏が上手くいったときは、演奏者は勿論、大きな充足感が得られると思いますが、その場に居合わせた聴く方にとっても、充足感を分かち合えるものだと思います。

カルテットを組むメンバー同士が仲良いことに越したことは無いけれど、仲が良いことで逆に深い傷を負った経験もあるそうです。徳永さんの話では、演奏するとき以外は、意識して距離を置くそうです。そうすることで、演奏中はぴったりと息が合うのだそうです。

音楽の話ではないけれど、演奏活動にまつわる、おもしろいエピソードを聞かせてくれました。演奏旅行などで飛行機に乗る場合、ヴァイオリンとヴィオラは手荷物となるのですが、チェロは大人一人分の料金の75%が加算されるのだそうで、それを4人で分け合うのだそうです。微笑ましいというか、涙ぐましい気の配り方ですね。

気配りといえば、こんなことを話していました。四重奏をする人に必要なのは、「三配り」と言って、「心配り」「気配り」「目配り」が、大事な、欠かせない要素だということです。音楽家ばかりでなく、会社で仕事をするときも、複数のメンバーがチームを組んで仕事にあたるときも、気持ちよく仕事をするために、欠かせないことですよね。

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