2016年12月25日の放送は、クリスマスシーズンには定番の音楽、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」をテーマにした番組です。以前登場した女性指揮者三ツ橋敬子さんの指揮による、神奈川フィルハーモニック管弦楽団の演奏で聴かせてくれました。客席に、現在首席ダンサーとして、ステージ、TVドラマ、映画、ミュージカルなど様々な場で活躍されている宮尾俊太郎さんを迎え、バレエ音楽にまつわる話がありました。♪1.組曲「くるみ割り人形」より

「小さな序曲」「行進曲」「金平糖の精の踊り」「ロシアの踊り・トレパーク」「葦笛の踊り」「花のワルツ」

どの曲も、子供のころから親しまれている曲で、夢のような雰囲気を味わわせてくれる音楽ですね。チャイコフスキーと言えば私は真っ先に想いだすのが「交響曲第6番 悲愴」あのロシアの雄大な自然(と言っても私はまだ未経験ですが)に育った人間でなくては発想が浮かばないような壮大な響きを持った音楽を創った同じ人が、このように夢のある世界に導いてくれる音楽も創っているなんて、人間の発想力というのは、なんて果てしない広がりを持っているのだろうと感心します。

今回の放送で、また一つ勉強になったのが「チェレスタ」という楽器です。「くるみ割り人形」の中では、「金平糖の精の踊り」の中で使われています。楽器の歴史の中では比較的新しいもので、チャイコフスキーが、チェレスタを世界中に広める立役者になったのだそうです。チェレスタは、1886年パリのオルガン製作者、オーギュスト・ミュステルが考案した楽器です。チャイコフスキーは1891年アメリカへ演奏旅行に行く前に、パリの街を歩いていてこの音を耳にします。「これは絶対に私が最初に使うから、誰にも見せないでほしい。特に、リムスキー・コルサコフやグラズノフに見せてはならない」と、母国ロシアにいる楽譜出版社の親友に、この楽器の購入を依頼する手紙に書いているそうです。わがままな作曲家ですね。上の写真は、日本のヤマハが、独自の技術で音に強弱がつけられるように改良したものです。それまでのチェレスタは、内部に並べられた鉄筋の鍵盤のような金属製の音板をハンマーが上から叩く構造だったのですが、ヤマハはグランドピアノのハンマーアクションを載せることで音に強弱がつけられるようにしたのだそうです。

楽器の歴史をさかのぼると、チェレスタが革新的な楽器というわけでもなく、発音体としてはグロッケンシュピールという名前で知られている鉄琴がモーツァルトの歌劇「魔笛」の中で使われています。グロッケンシュピールの時代にも、鍵盤付きというものが考案されたようですが、廃れてしまったようです。

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