オリンピック大会などで、アメリカ選手が優勝すると、表彰台に上がった選手を讃えてアメリカ国家「星条旗/The Star-Spangled Banner」が演奏されるシーンを子供の頃からよく見慣れてきました。雅やかで幻想的かつ幽玄な雰囲気を感じさせられる日本の国歌「君が代」と比べると、何と勇壮な旋律、そして荘厳な響きなことでしょう。https://youtu.be/1EpauHrHQQk  

子供の頃から、魅力を感じていた吹奏楽の演奏の数々をYOUTUBEで楽しんでいた時、アメリカ国家「星条旗」の演奏を聴いて、この曲が作られた生い立ちが知りたくなり、調べてみたところ、興味深い成り立ちを知りました。

1776年、イギリスからの独立を宣言したアメリカということは皆さんよくご存じだと思いますが、フランス革命後の英仏抗争との絡みで、アメリカ西部のタカ派の圧力で1812年には米英戦争へとつながります。アメリカは、優勢だったイギリスにワシントンD.C.を陥落させられ、ボルティモア港のマクヘンリー砦を包囲されました。イギリス海軍の25時間に及ぶ激しい砲撃、1500発以上の砲弾を浴びて朝が明けた時、マクヘンリー砦の上に翻っていた特大サイズのアメリカ国旗を目にした、ワシントンの弁護士フランシス・スコット・キーは大変感銘を受けて、集中砲火を耐え抜いた国旗を讃える詩「マクヘンリー砦の防衛」を直ちに書き上げたのだそうです。                              マクヘンリー砦の星条旗

こうした、血なまぐさい逸話は、アメリカに限らず多くの国の国歌にはつきもののようですが、それはその国の歴史、史実を尊ぶ国民性の発露として保存されるのは第三者からとやかく言うことではないと思います。私が今回、興味深く思ったのは、そういう話ではなく、アメリカ国歌のメロディーのことです。

18世紀イギリスで流行していた大衆歌謡の「天国のアナクレオンへ」のメロディーが、上記の「マクヘンリー砦の防衛」の詩に付けられて歌われ、多くの人々に支持され、1931年にアメリカ国歌「The Star-Spangled Banner」として法制化されたのだそうです。戦争相手国の流行歌が国家のメロディーの原曲だなんて信じられますか?旋律自体の良さを認め、変にこだわりを持たないというおおらかさが面白いと思いました。下記URLから、「天国のアナクレオンへ」を聴いてみてください。

http://www.worldfolksong.com/songbook/england/anacreon-in-heaven.html

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