久々に「題名のない音楽会」を観た感想を綴ってみようと思います。

2017年9月3日は「巨匠vs吹奏楽部の音楽会」のタイトルで、日本を代表する高校生吹奏楽部3校に、「音楽界の巨匠」と称されたA:トロンボーン奏者中川英二郎、B:サックス奏者本多俊之、C:トランペット奏者エリック・ミヤシロの3人がそれぞれに課題曲を与えて、競演(共演の方がふさわしいと思うけれど)するという触れ込みで30分の番組が構成されました。

3つの高校は、[A]:東海大学付属高輪台高等学校(私立)、[B]:柏市立柏高等学校(公立)、[C]:浜松聖星高等学校(私立)です。「巨匠」と称された3人の顔ぶれから察せられるように、課題曲はいずれも往年の吹奏楽の名曲として親しまれているものではありません。

[A]: V.モンティ作曲 中川英二郎編曲 「チャルダーシュ」

 

 

 

 

 

[B]: 本多俊之作曲 「AMPLITUDE」

 

 

 

 

 

[C]: 和泉宏隆作曲 エリック・ミヤシロ編曲 「宝島」

 

 

 

 

 

 

「チャルダーシュ」は、私もよく聞きなれている名曲ですが、オリジナルはたしかヴァイオリンによる超絶技巧的な演奏で有名ですね。この曲をトロンボーンと吹奏楽で演奏すると聞いて私は驚きと共に「トロンボーン」でどんな演奏をするのだろうといささか懐疑的な関心をもって演奏に注目しました。流石に「巨匠」の名に恥じない見事なトロンボーンの演奏ぶりです。巧みなスライド裁きで「チャルダーシュ」を緩急自在に演奏してくれました。音楽に限ったことではありませんが感動を与えてくれる芸術とは、精神的な面の感動が内面に満たされていることは勿論ですが、思い通りの音を作るための体の動きが伴わなければ実現できない。そのためには、生まれつきの才能如何にもよるところが大きいとしても、修練を積んで思い通りの音が出せるようにならなければ聴く人に感動を伝えることができないものだということを、なぜかしみじみと感じました。

テクニックと芸術とは、表裏一体のものであって、両方が揃って初めて人に感動を与えることができるのではないでしょうか。テクニックばかりが目立つ演奏家を見かけると、淋しい気持ちになります。また、そういう演奏家をもてはやすマスコミ、それにつられる大衆が少なからず居るということも少し気になります。

エリック・ミヤシロさんのコメントも、印象に残りました。吹奏楽部のメンバーの質問に答えて「メンバー一人一人が、それぞれの音色を持っていて良いのです。それがまとまってそのグループ独特のサウンドを生みだすことができるのです。」なるほどなと思いました。ただ勘違いしてほしくないのが、「まとまって」が肝心なのであって、「寄せ集め」ではやかましいばかりになります。佐々木先生が口を酸っぱくして言っていた「聴いて、聴いて」を実践し、各メンバーの音色が溶け合ってはじめて、美しいサウンドができるということを胸に刻んで欲しいと思います。吹奏楽アンサンブルに限らず、合唱についても通ずることだろうと思いました。

日本を代表する吹奏楽部のある3つの高校がどんなところか興味があり、ちょっと調べてみました。

[A][B][C]は、番組の登場順で、それ以外の何の意図もありません。

[A] 高校は1944年創立と歴史のある学校ですが、吹奏楽部創立は45年前。現在部員数143、内訳は女子111、男子32.圧倒的に女子が優勢です。女子の部長が率いています。学校は中高一貫教育です。入試定員は男子170女子170と男女同数ですが、吹奏楽部は女子に人気があるのですね。私立だから驚くことはないのかもしれませんが、隔年で海外演奏旅行をしているという、お金持ちの学校ですね。

[B] 2017年4月現在の生徒数965人の内、その27%を超える260人以上の部員が今年創立40周年を迎える高校の創立以来編成されている吹奏楽部で日々練習に勤しんでいます。高校の校歌作詞作曲が中村八大さんです。比較的新しい高校なので、校歌の歌詞を見ても新進気鋭あふれた内容に感じました。

[C] 1956年創立の静岡県浜松市内では伝統あるカトリック修道会が経営する「浜松海の星」という女子高が、今年度から校名を変えて男女共学になった学校です。当然のことながら女子の部長のもと部員も女子が圧倒的に多いようです。吹奏楽部とは全く関係のない話で恐縮ですが、学校の規模をみたところ2017年5月現在の生徒数が614人ですが2018年の募集は175人と少なくなる傾向です。高校の沿革をみると1977~1992の15年間におよそ5000人の卒業生を輩出しています。これから単純に計算すると1学年平均333人となりますので、生徒数から見た学校の規模は年々少なくなる傾向です。少子化の影響で止むを得ないのか、少数精鋭を目指した学校の方針転換なのか興味あるところです。面白いことに学校を紹介する専門のサイトに昨年度の入試問題が公開されていました。ひとつ掲載してみました。中学卒業生でこれがどのくらい解けるのかなあと、興味津々にチャレンジしてみました。皆さんもひとつ試してみてください。

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