私が数年前から声楽レッスンを受けている二宮先生の先生であられる、工藤健詞氏(発声法を極めるためイタリアにわたり、発声の神様と言われた名バリトン、アルド・プロッティや、大スターであったテノール、ジュゼッペ・ディ・ステファノの愛弟子である現役オペラ歌手)による発声講座(公開レッスン)を聴いてきました。二宮先生の他、工藤先生の教えを受けておられる幾人かの先生も、参加されて、そのまた弟子の中から数人の生徒さんが、ステージ上でオペラのアリアなどを歌い、そのすぐ脇に立たれた工藤先生から懇切丁寧な指導を受ける形で、約2時間半の時間が経過しました。

音大を受験されるという19歳の青年の発声が素晴らしい。工藤先生も相当に大きな期待をかけていられるようで、熱心な指導の様子を、私も思わず固唾を飲んで聴き入りました。二宮先生も「私が19歳のとき、とてもあれだけの声は出せなかった。素晴らしい」と言っていました。

模範演奏として、バスとソプラノの二重唱を聴かせてもらいました。万里の長城コンクール(?)で優秀な成績をおさめたそうです。

レッスンの終わりに、建築家・川柳家元・折画帖家と多才な肩書を持たれるH氏の演奏が披露されました。かなりの高齢者でおられるようですが、正しい発声について、今の生活の中でも色々気を使って実践しているとのこと感心しました。簡単に歌の解説(イタリアの恋の歌)をしてくれましたが、日本語で歌ったところがよく伝わってきて素晴らしかった。

レッスンの合間に、工藤先生が少し閑談されたのですが、いくつか印象に残った話は(発声に関する具体的なことは、レッスンの最中にあるので、省きます)

〇発声には、人間性が伴わないといけない。〇コミュニケーションが取れなくなったら、発声もダメになる。〇レコードやカセットテープを何回も聴くしかなかった自分の頃と比べ、今の貴方たちは、こうやって指導してもらえるのはとてもよいことです。〇音楽家が人気だけで評価される今の世の中は、まずいのかもしれない。

ステージに上がって、工藤先生の指導を直接受けるのとは、比べようもありませんが、客席でレッスンの様子を注意深く観察させてもらうだけでも、大変良い勉強になりました。また、レッスンの合間に話される工藤先生のお話もとても興味深く聴くことができました。

Follow me!