2017年9月24日の放送は「新しい民謡の音楽会」と題して、東京混声合唱団とパンダウインドオーケストラ(吹奏楽)で演奏する「民謡」への新しいチャレンジが紹介されました。どういった調査を基にしたものかわかりませんが、日本にはおよそ20,000曲の民謡があるそうです。日本人の生活の中から発生し、永く歌われ続けてきた民謡ですが、私などはこの内で知っている曲は恐らく100曲にも満たないと思います。民謡は、地域の生活に根差しているという性格から、地元の人にしか知られていない曲が多いのでしょう。20,000曲の民謡の中には、地域にとどまらず、日本全国にわたって多くの人々に愛されてきた名曲と呼ばれるいくつかの曲をもとにした「新しい民謡」スタイルで楽しませてくれました。

合唱をやっている人なら、民謡を題材として著名な作曲家が合唱曲として世に出しているものを思い浮かべられると思います。番組のかわきりは、三善晃作曲:混声合唱のための「五つの日本民謡」から「ソーラン節」です。

東京芸大卒業生で編成され、61年の歴史を持つ東京混声合唱団、さすがに表現力は見事なものがありますね。指揮者山田和樹さんのリードが優れているのでしょう。メリハリの利いた「ソーラン節」でした。今回の番組は「新しい民謡」と題してはいるものの、この曲は1973年に発表されたもので、これまで多くの合唱団が演奏してきていますので、目新しいものというイメージはもはやなく、合唱名曲選の中に肩を並べるものになっています。ただ、伝統的に歌い継がれてきた民謡に対して、新しいスタイルの提唱という意味で十分価値の高いものであることに違いは無いと思います。

続いて、「日本全国人気民謡メドレー」と題して、[宮城]「大漁唄い込み(斎太郎節)」[栃木・群馬]「八木節」[富山]「こきりこ(コキリコ節)」[福岡]「炭坑節」[沖縄]「安里屋ユンタ」を、東京混声合唱団と、こぱんだウインドオーケストラの共演です。「八木節」に伴って奏されるお囃子のリズムは、ブラジルのサンバのリズムと通じるものがあるのだそうですね。日本人とブラジル人とが持つそれぞれのDNAに共通するものがあるのかもしれませんというコメントがありました。

沖縄の「安里やユンタ」は、名前を聴いても知らないものでしたが、聴いてみると、宴会の席などでよく耳にしたり口ずさむ耳慣れた唄でした。

最後の「東京音頭」は、東京に限らず日本人なら何度も口にしたことのある民謡の名曲でしょう。今回の番組で改めてこの曲の生い立ちを知ることになりました。原曲は1923年西條八十作詞中山晋平作曲による「丸の内音頭」というものでしたが、すべての東京市民が歌えるようにと、翌年1933年に、改題・改詞されて今のような「東京音頭」が生まれたのだそうです。歌詞の一部にはいろいろな含みを持たせた(作詞者の意図かどうかは知りません。勝手に想像しているだけかもしれませんが)ところがあるせいか、爆発的な人気を博し、番組の中では「120万枚レコードが売れた」と言っていましたが、ネットで検索した記事の中には「1000万枚を超える」と書かれているものもありました。東京市民に限らず日本全国に広まったのでしょうね。

 

 

Follow me!