前稿「おもちゃ病院まちだ とても良い勉強になります。」で、どんな雰囲気かを、だいたいお分かりいただけたと思います。

本稿では、もう少し詳しく「おやすみホームシアター」が復旧するまでの手順をお話ししたいと思います。エレクトロニクスの分野についてはずぶの素人なので、説明に不適切な部分が多々あると思いますが、ご容赦願います。

前稿と重複するところがありますが、作業の流れを要約すると次のようになります。
1.状況把握:電源ONボタンを押しても、瞬時スピーカーから音が出て、すぐ電源OFFとなってしまう。ライトは光らず、モーターも回らない。
2.電源チェック:乾電池の電圧測定 4本の内、1本は1.5V、残り3本は1V 正常な電源電圧が得られていないことを確認した。
正常な乾電池をセット→スピーカからの音は継続するが、ライトは光らず、モーターも回らない。

3.分解点検:回路基板、LEDライト、モーターそれぞれの動作確認
LEDライト:外部電源から供給する6Vで動作を確認したところ、問題なし。
モーター:同様にして、正常動作が確認できた。
回路基板:モーターへの出力がゼロ、LEDライトへの出力端子の電圧が、1.3Vしかない。この結果、回路基板上に異常があることがあきらかになった。

4.回路基板点検
LEDライト、およびモーターへの電源供給端子から上流をたどっていくと、トランジスタ、抵抗を通り、黒くモールドされた
ICにたどり着くことができた。順を追って動作を確認していくと、モールドされたICに異常があることが確認できた。

さて、これからが「おもちゃ病院まちだ」に集まるドクターの腕の見せ所です。
■怪しいICは、基板に直付けされ、ワイヤボンディングで配線され黒い樹脂で固められています。ICを交換するということは、基板ごとそっくり交換することを意味します。
■LEDライト、およびモーターは、外部から直流6V電源を供給することによって正常であることを確認しました。
ということであれば、内蔵の乾電池4本で得られる直流6Vの電源電圧を、怪しいICを通さずに、直接LEDライトおよびモーターに、供給してやれば動作することは可能です。
但し、もともと「おやすみホームシアター」に付いていたスイッチが無効になりますから、代わりのスイッチを付ける必要があります。子供さんが遊ぶときに支障がなく、かつ配線が可能で、取り付け加工が可能な場所を考えて、ボデーに穴をあけ代わりのスイッチを取り付けました。

これで、ようやく完成しました。お家に帰って家族みんなでホームシアターを楽しんでいることでしょう。

おもちゃを修理していてつくづく思うのですが、精鋭ドクターの知恵を寄せ合って完成にこぎつけることができるのですが、知恵を寄せ合うと同時に、手も寄せ合わないと、ドクター一人の2本の手では足りず、4本、ときには6本の手で協力しあって完成にこぎつけることができるのです。製造メーカーでは数十台、数百台と作るので、専用冶具を使ウことで、恐らく組み立てる人は2本の手で間に合うのでしょうが、メーカーの外へ出たおもちゃを直すうえで悩ませられるところです。

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