11月23日 朝5時に自宅を出発し一路宇都宮に向けて車を走らせました。圏央道から、東北道へと進むのですが、朝早いので道路はガラガラだろうと思っていたのですが、走っているトラックが多いのは意外でした。私は、高速道路では時速100km程度で巡行したいのですが、走行車線にいると、せいぜい速くても80㎞、遅いときは60㎞くらいになることが多いですね。といって追い越し車線に入ると、後ろから煽られるので前の車と間を空けないように走ると120kmになってしまうこともあり、思うように走れないですね。事務局から聞いた集合時刻8:45に遅れないように適宜車線を切り替えながら、栃木県教育会館駐車場に着いたのが7:30でした。

建物に入ると、宇高の制服がちらほら歩いていたので「音楽部ですか?」と声をかけたところ「将棋部です」。同じ建物で将棋の大会があるそうです。音楽部OB会の演奏会を紹介したところ、聴いてみたそうな反応を示していました。音楽についてどれだけ関心を持っているのか全く分からない初対面の高校生ですが、目を輝かせて関心がある様子が伺えました。好奇心旺盛な若者、自分も50年前はこうだったかもしれないけれど見ていてとても気持ちの良いものを感じます。

8:35からオーケストラの楽器搬入の予定です。事務局からは事前に「手を貸してあげて」と言われていましたが、実際の状況はかえって足手まといになりそうだったので控室やらロビーで過ごし、10:00から始まるオケのリハーサルを見学させてもらいました。演奏中の写真撮影は禁止といっても、リーハーサルなら多分許されるのでしょうが、ついついステージ上の一挙手一投足に気を取られカメラはポケットにしまいっぱなしです。本日演奏するのは、ベートーヴェンの序曲「エグモント」そして、交響曲第7番全曲と、どちらも大好きな曲です。オーケストラの指揮は、宇高のオケで私の1年後輩のM氏。宇高の石井先生の薫陶を受けるほか、指揮、作曲、ピアノ、打楽器を有数の先生に就き文化庁芸術家国内研修員として指揮法を研修し、小林研一郎をはじめ多くの指揮者のもとで研鑽を積まれ、栃木県交響楽団指揮者ほかで音楽活動を行っている人です。大学は工学部電気工学科および教育学部音楽科を卒業しています。

演奏が始まると、その響きに驚きました。高校生のオーケストラの演奏とは格段の違いです。メンバーには宇高を卒業して、様々な道へ進んでプロの音楽家になった人も含まれるのですが、そうでない人も含め皆、本物を追求する精神は一緒です。勿論、プロのオーケストラの洗練された響きと比べたら文句を付けられるところが多々あると思いますが、ベートーヴェンがこの音楽で表現しようとした魂の真髄に迫ろうとして熱のこもった演奏に、私の魂も揺さぶられました。

パンフレットに印刷された出演者のリストを見ると、最年長者は昭和29年卒、最若年者は平成29年卒、なんと63年の歳の差。お爺さんと孫が宇高音楽部の活動の流れの中で同じステージに乗って演奏するなんて素敵だと思います。

今回私が参加させてもらった合唱の演目は下に示したプログラムの通り。ずいぶんジャンルの広い選曲で、面食らいました。「月光とピエロ」は、おなじみの曲ですが、「鷗」「なごり雪」は初めて見る曲です。「鷗」は、三好達治の詩に、木下牧子が曲を付けたもので、学徒動員で戦争に駆り出された若人への鎮魂歌とでもいうべき音楽で、複雑な想いが頭をよぎりますが、むごたらしい戦争ですが音楽の中に暗さは感じられません。決して戦争を肯定するものではなく、人類の犯した大きな過ちをひとつの過程として、さらに高い観点で捉え、あくなき自由な世界を追求する姿を何度も何度も繰り返して謳いあげる曲ではないかと思います。

 

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