毎週日曜日にNHKで放送される「小さな旅」をよく観ています。
今週は茨城県鹿嶋市と神栖市にまたがる鹿島臨海工業地帯を背景に、人と人との温かいふれあいが紹介されていて、ぬくもりを感じさせてくれました。

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遠方から眺める工業地帯が映し出され、今日の番組ではどんな話が展開されるのだろうという期待に胸が膨らみます。鹿島臨海工業地帯には鉄鋼、石油産業を中心に160社のプラントが立ち並ぶ、日本の産業を足元から支える台所のような存在です。番組ではその中の鉄鋼管を生産する工場で40年間働いてきて、定年を迎えた今も「若い人たちに技術を伝えてほしい」との会社の要望で仕事を続けていられるベテラン技術者を紹介していました。番組では社名を語ってはいませんでしたが映像の中にはっきり「新日鉄住金」の社名が映されていました。私がいくつか経験した会社の中でプラント用設備の設計に於いて、そこで使用する鋼管を調達する際に、品質その他の要素で選んでいた「新日鉄住金」の名前を見出し、懐かしい思いで映像を観ました。

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この工業地帯には、設備の工事やメンテナンスのために、日本全国から2万7千人の技術者たちが集まっているそうです。その人たちは、家族と離れ、任務が終わるまで長い人では半年にわたってこの地で不自由な暮らしをしながらも、誇りをもって男の責任を果たしていくのですね。
私も、業界こそ違え、工場用設備のメーカーに技術者として勤めていたころ、ユーザーに収めた設備の立ち上げや、メンテナンスのために長い時でひと月ほど出張した経験があり、共感を覚えながら、しみじみと映像に見入りました。

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単身生活で何といっても重要なポイントの一つが、食事です。番組で紹介されていたのは、創業以来40年間大きさを一切変えずに工場で働く人達の腹を満たす巨大おにぎりを提供しているあるコンビニでした。現在は二代目の夫婦が、朝6時の開店に間に合うように5時から、普通のコンビニおにぎりの2倍の分量のおにぎりをこしらえます。希望者にはその場で出来立てのおにぎりを作るという念の入れようなのには感心させられました。

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長期間にわたり家族のぬくもりを絶たれて暮らす人々に少しでもやすらぎを与えようと頑張っている旅館のおかみさんが紹介されていました。玄関に沢山並べられたスリッパには、少しでもくつろぎを感じてもらえるよう「マイスリッパ」と称して、一足一足に名前が書いてあります。庭には、おかみさんご自慢の手作りの野菜、果物が20種類作られているそうです。無農薬で新鮮なものを食べてもらいたいという、優しい心に感心させられました。こうした、温かな人間同士の触れ合いも、日本の産業を支えている一つの大きな柱なのだろうと思います。

この投稿に挿入された画像は、NHKのホームページから引用させてもらいました。ありがとうございます。

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