図らずも度重なる転職をする羽目になった経験は、貴重なものと考えることもできますが、何でもそうですが物事を前向きにとらえる前向き思考が大切なことは言うまでもありません。しかし、自発的な転職であって、それが成功した暁には本人の栄誉として自慢できることだと思いますが、私の経験した転職は、様々な事情からやむを得ない判断だったものがほとんどでした。ですから、貴重なものというのは、裏を返せば、一種の負け惜しみのようなものだと言えるかもしれません。
今、自分の職業生活を振り返ってみた時に、転職というものを大局的にみて言えることは、積極的に奨められるものではないということです。日本独自の企業文化として、「人を育てる」という大きな目標があると思います。現在はどうかわかりませんが、少なくとも私が経験してきたところでは、はっきりそれが言えると思います。私自身、大学卒業後ある大手の電機メーカーに就職して、開発部門に配属されたのですが、初めの数年間は仕事を覚えること、会社の仕組みを頭に叩き込むことでいっぱいでした。「これで給料もらえるなんて申し訳ない」くらいに思ったものです。しかし、企業としてはこうして人材を育てることが至上命令であり、これをいい加減にしておくと、後でしっぺ返しを食らうことになるのでしょう。勿論、会社によってやり方には大きな幅があると思いますが、私が入社した会社は、実に社員教育が充実しており、今も感謝の念を禁じえません。

転職を経験して強く印象に残ることは、それぞれの会社には、それぞれの文化があり、その文化を無視していては仕事はスムーズに奨められない。ほかの社員から白い目で見られるというのは極端だとしても、仲間に入れてもらえない。この文化を習得するのにはおよそ3か月はかかる。他の人はどうかわかりませんが、私にとって転職というのは、ものすごくエネルギーを消費するものだと言っても過言ではありません。一方、転職した先の会社から見た転職者は即戦力と見られています。その結果、転職者と会社との間には大きなギャップが生じ、このギャップを埋めるのは容易ではありません。

これまで書いてきたことは、企業一般について当てはまることではないと思いますが、大同小異で参考になる部分がきっとあると思います。
こうしたことから、転職を考える場合には、転職は大きなエネルギーを使い、担当する業務の理解は当然のこと、企業の文化に溶け込む気持ちが必要不可欠だということを忘れてはなりません。こうしたことを踏まえたうえで、転職する意義を確認できたならばその転職はきっと成功するでしょう。

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