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お盆休みを利用して、13日から5日間大阪に住む長女の家族と過ごしてきました。長女が結婚して、長年待ち望んでいた子供がようやく昨年4月に生まれ、今回の訪問では満1歳と4ヶ月。まだ喋れませんが、しきりに笑顔を振りまいてくれる孫の一挙手一投足に顔がほころびっぱなしのジジババでした。
閑話休題、どこからかの紹介で知った表題の本、是非読んでみたい気持ちになり、図書館に予約しておいたものが大阪出発の数日前に届いたので、新幹線の中と、訪問先で手が空いた時と合わせ、一気に読みました。
東日本大震災の発生から早や4年5ヶ月が過ぎ、人々の話題に上ることが少なくなってきましたが、この本の紹介を知るまで日本の出版用紙の約四割を担っている日本製紙の主力工場である石巻工場が壊滅的被害を受けたということを全く知りませんでした。出版用紙の供給がこれほど大規模にストップするという事件は、その国の文化の形態を左右しかねない大きな事件なのだということを改めて認識した次第です。製紙工場を動かす人々の使命感の強さに感心しました。
私も分野こそ違え、長年設備の運用保守改良を担当してきた一技術者として、設備に対する愛着、トラブルで停止した設備を一日も早く復旧させたいと願う気持ちは良く分かります。石巻工場の設備を我が家族同様に思う人たちがN6マシンを最初に立ち上げたいと思うのは極自然な感情だと思うし、経営者の立場としては8号マシンを最優先で立ち上げようと判断し、その指示に従って、葛藤と戦いながら半年という短い日程の中、様々な困難を乗り越え取り組んだ人々のドラマは壮絶なものです。
この類のテーマを書く人は大体男だと思っていたので、著者名を見て意外に思いました。女性といってもこの手の記事を書く事に慣れているのでしょう、実に精彩に事実を把握して表現しているところは見事です。周到に取材を重ね、震災の当事者の人々の気持ちを、その折り折りに目に飛び込む風景に重ねて表現するところなど女性ならではの感性を思わせるところも随所に見当たります。
野球部の運命にもページを割いているところは、確かに震災で被害を被った大きな一面には違いないと思いますが、総花的になっているきらいがあり、作者が一番力を入れたいテーマがどこにあるのかが一寸わかりにくくなってしまった気がしました。
震災と戦った人々の貴重なドキュメンタリーであり、細大漏らさず記録するという意味で、多面的に目を配って書いた力作ということで了解しました。

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