2016年2月28日の放送は、海外を拠点に活躍する20代の若手演奏家を集めた「新世代の音楽会」です。
番組の冒頭で演奏を聴かせてくれたのは、G.ガーシュインの「三つの前奏曲第1番」エネルギッシュに演奏する若手演奏家たちのあふれるばかりのエネルギーを湛えた情熱を感じさせる演奏でした。
続いて、G.F.ヘンデルの音楽をベースに19世紀後半から20世紀にかけて活躍したノルウェーの作曲家J.ハルヴォルセンが新しい空気を取り入れた「パッサカリア」 根底に流れるヘンデルの清澄な和音によって醸し出される雰囲気を壊さずに、新しい息吹が開花したような素敵な演奏でした。これまで私は聞いたことがなかったヴァイオリンの複数の弦を同時に弾くピチカートの音もふんだんに使われ新鮮さを感じました。
ヴァイオリンとチェロが弦が同時に奏する和音の響きが、ヘンデルの時代とハルヴォルセンの時代をつなぐ糸ではないかなと思わせるような演奏でした。
次が、F.プーランクの「城への招待」より抜粋された演奏をヴァイオリン、クラリネット、ピアノの三重奏により聞かせてくれました。
曲の冒頭は、「これから城に入る人びとのざわめきをあらわす」というような解説がありましたが、作曲者F.プーランクは「今日の格言」に示されている『私の音楽を分析するな、愛せよ』という言葉を残しています。解説は無いより有った方が音楽への理解を深めるのに役立つようにも思いますが、プーランクの言葉が表していることと関連するように、解説によって頭の中に既成概念が形作られてしまうのを避けたいと思う人もいるかもしれません。とにかく、演奏は楽しく、作曲者が響きの中に意図したと考えられる心の動きを見事に表現していたと思いました。アシスタントが「情景が目に浮かぶようですね」と言っていましたがその通りです。音楽によっても違いがあるかもしれませんが、このような音楽は、解説は聞かずに心を「無」にして聴くのが良いと思いました。
最後の、G.コネッソンが書いた「アダムズ・ヴァリエーション」は、良く理解できませんでした。
今日も、楽しい「音楽会」でした。