2016年3月6日の放送は、「歴史を彩るヴァイオリニストたち」と題して、ゲストに日本を代表するヴァイオリニストであり、後進の指導にも定評のある徳永二男さんと、その弟子で、史上最年少の16歳で世界最難関と言われるハノーヴァー国際コンクールで優勝した三浦文彰さんを迎えて、司会を務める五嶋龍さんを交えてのヴァイオリン談義と卓越した演奏を聴かせてもらいました。20160306A一寸事情があって、放送の前半を見逃してしまいました。タイトルが「世界を彩る」とあったので、この3人が世界を彩るなんて凄いなあ、と思っていたところ、生出演ではありませんが、世界的に名高い二人のヴァイオリニストの演奏を映像で紹介するという、これまでにない番組スタイルでした。同じ曲でも演奏家によっていかに違った印象の音楽が出てくるのかということを、チャイコフスキーのVn協奏曲を例に、主要なフレーズを聴き比べるという面白いことをやってくれました。二人のヴァイオリニストとはイヴリー・ギトリス(1922-)と、イツァーク・パールマン(1945-)、どちらもイスラエル生まれです。ギトリスの演奏は、アクが強いものと定評があり、ちょっと見た感じ近寄りがたいイメージなのと比べ、パールマンの演奏は、「やさしさがにじみ出てくるような」と評する人もいて、私はメロディーを甘く奏でているところは良いのですが少しねちっこいフレージングだなと感じました。先にギトリスの演奏を聴いたから、余計そう感じたのかもしれません。考えてみると、チャイコフスキーのこの甘い旋律にぞっこん惚れ込んだ若い頃の自分を思い出しました。

二人の巨匠の演奏する映像をバックに、五嶋龍さんが語っていましたが、「音と音がつながっていく間にある、音のないところの緊張感がとても重要なんですね」。まさに、音楽の真髄を表現している言葉だと思います。基本的にはあるテンポの中に規則的にリズムを刻んでいくのですが、一つ隣の音との間隔が微妙に加減されて、演奏者は何かを語りかけていくのだと思います。演奏を聴く人は、その語りかけられた何かを感じて感動が伝わっていくのではないかと思います。五嶋龍さんは音楽ひとすじの道を歩んできた演奏家とは一味違った感性を持っているなと感じたのは私だけではないでしょう。ヴァイオリニストのお姉さん五嶋みどりさんの背中を見て育ったと彼自身語っていましたが、音楽的にハイレベルの環境のもとに育ちながら、音楽とはまた別の世界も感じながら幅広い感性を育んできたのでしょうね。

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20160306C今日もまた味わい深い番組でした。

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